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EP1/ "tHInKING"ステッカー(2枚入り)
¥500 税込
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エピソード1
フラットアースには自然恵まれた豊かな山林とよく整備されたトレイルがある。港町に近い山域の登山口にある修道院では、僧侶が作り販売している"MONK’S STOVE”がハイカー達の間で人気だ。修道院では積極的にトレイルの整備や清掃を行っており、トレイルの清掃中に僧侶達が落ちている空き缶を拾って作ったのが"MONK’S STOVE”だそうだ。ハイカーの出したゴミをハイカーに還元するその仕組み。非常に興味がある!今回はその制作現場への取材のアポイントが取れたので早速修道院へ向かった。撮影厳禁と言われるとこっちも少し背筋が伸びる。それほど秘密たっぷりの修道院なのか?もちろん私もハイカーの端くれ。SNSで見たそのストーブを是非手に入れたいものだ。
港町から山間の奥地まで車で約30分。薄暗い樹林帯の林道を抜けると広々とした草原があり、中心には教会、鶏舎、宿泊棟などの白い建物が立ち並ぶ。草原を走る車の窓からゆるやかな風が吹き抜け、何とも心地の良い場所。しかし、奇妙なのは全くひと気が無い。静かすぎる。
「着きましたよ。」
タクシーのドライバーが入り口の門の前で車を停めた。ドライバーには帰りの時間を伝え、門のインターホンで呼び出すと建物の中へ案内された。
建物の中は外の草原や港町が一望できるガラス張りのロビーがあり、床は黒い石のタイル張り。天井低くて直射は入らず少し肌寒かった。
「こっちに座りなさい。」
玄関で待っていた男性はロビーにあるソファに案内してくれた。黒いローブを纏った男性は、白髪の短髪で首元までの長い白髭も蓄えていて、これぞ長老と言わんばかりの風貌だ。カツカツと男性の歩く音が静かな建物の中に響き渡る。革のソファーにゆっくりと腰を掛けたあと、男性は眩しそうに外の風景を眺めた。
「君は歩くのかい?」
回答に困った。普段から趣味として山を歩いているのか?それともこの山域を今から歩くのか?これだから年配の男性とのコミュニケーションは困る。毎度毎度こっちが勘繰らないといけないからだ。
「はい、歩きます。」
回答はどちらにしろこの山域は小さな頃に祖母に連れられて歩いたことあるし、何ならタクシーのドライバーにすいませんって言って今から歩いても良いし、とりあえずそう答えた。
「そうか。それは良かった。」
そう言って片手に持っていた本をテーブルに置き、男性は少し微笑んだ。
「うちのストーブの取材に来たんだろ?この本に全てが書いてある。この世界、そして修道院の歴史、活動、ストーブのレシピ。全てだ。わたしが今さら語ることもない。」
本は黒い皮の帯で覆われていて、表紙にはアルファベットが重なったようなロゴマークと何かの標語のような文字が金色の塗料で刻まれている。本を触れようとした瞬間、男性はすぐに本を取り上げた。
「おいおい。お前さん、この本を読むにはまだまだ経験が足らん。20年じゃ、20年。うちの修道院で修行し、最高位(マスター)のランクにならんとな。マスターしかこの本を読むことは許されんのじゃ。」
「す、すると私はこの修道院で修行を積まないとその本を読むことは許されないのですか?」
「そうじゃ。しかしなぁ、近道もある。これじゃ。」
男性は微笑み、左手の人差し指と親指で作った丸い円を私に見せつけてきた。
「え…。」
身体の外に漏れてしまった私の心の声が静かなロビーに響き渡った…。
その時に記者が見た本の表紙の図案を元にしたステッカー2枚セットです。
(注意:記者の記憶を元にスタッフが図案化したものですので、もしかしたら本来の図案とは少し違うかもしれません)
サイズ:50mm×50mm
素材:塩化ビニール
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